偶然の再会?? | 過食嘔吐が治った**あなたは私の日向です**

偶然の再会??

彼との間にはたくさんの偶然があった。

中には「運命?」と思ってしまうような偶然も・・・

今日はその中の一つをお話します。


ある年の12月

まだ私が日陰の女であった時。

仕事で本州へ行った彼は、

とてもキツイ労働条件で働いており、

3月の飲み会以降一度も北海道へ帰ってきていなかった。

(地元にいる彼女にすら会いに来ていない)

私は連絡を絶つことを決心したので

彼女のように彼に会いに本州へ行くこともなければ、

こちらから電話をすることもなかった。

自分で自分を苦しめるようなとても辛い毎日を送っていた。

(もちろん過食嘔吐はひどかったです。)


会社のラジオからはクリスマスソングが流れ、

余計悲しくなりながらその日も仕事を始めた。

当時会社は今のように自由がきかず、

朝の9時から夜の6時まで

上司である経理課長と二人きりの部屋で

たまに雑談する以外はもくもくと仕事をこなしていた。

お昼休みも課長と二人で食事していたので、

一人で自由になる時間はトイレ以外には滅多になかった。


その日はなぜか

朝から落ち着かなかった。

仕事が始まって30分もたたない時、課長の携帯が鳴った。

奥さんからで、

「子どもが熱を出して早退してくるが、

今日は大事な打ち合わせで抜け出せない。

かわりに帰って面倒を見て」という内容のもの。

課長は「すまんけど後頼む」と言って帰っていった。

私は一人になり、とりあえず課長の代わりに銀行へ支払いに行った。

支払いが終わり、銀行の外を歩いていると、

携帯電話が鳴った。


本州で仕事をしているはずの彼からだった。

迷ったが、何か急用かと思ったので出た。

彼は

久しぶり とも

元気か?とも言わず

私の落ち込んだ心なんかおかまいなしに

嬉しそうな声で

「今どこにいる?」

と言った。

私は

「は?支払いで銀行まわり」

と半ギレで言った。

そして

「どうしたの?仕事中じゃないの?」

と聞いた私に彼は

「今お前が見えるよ」

と言った。

私は

「何いってんの。冗談はやめてよ」

と怒った。


すると携帯電話をあてた右耳から、

あてていない左耳に自然と流れ込んでくる

街に響く鐘の音が聞こえた。

まさかと思って振り返ると

横断歩道の向こう側に彼が立っていた。

本当にびっくりした。

休みはないと聞いていたし、

もし帰ってきても会わないつもりだった。

彼は

「仕事休みとれたからお前に会いにきた。

何も考えないで夜行列車に飛び乗ったから

携帯電話と財布しか持ってこなかった」

と笑った。

そして

「でも今日の夜中の12時から仕事だから(24時間営業)、

夕方5時半の飛行機で帰らなくちゃなんないんだ」

と言った。

私はあきれた。

「今はたまたま会えたけど、

いつもなら私6時まで仕事してて、会社から出られないんだから、

ヘタしたらせっかく来たのに会えないところだったんだよ!

連絡もしないでくるなんて無謀すぎるわ」と。

すると彼は

「いや絶対会えると思ってたよ」

と笑った。

私は嬉しかったけれどやっぱりあきれてしまった。


だって会えるか会えないかわからないのに、

たった数時間の滞在のために

お金と時間をかけて

茨城県から北海道までわざわざ来たのだ。

ものすごい無謀なカケだ・・・


けれど彼はまんまとそれに勝った。


彼は

「これからどこへ行こうか?」

とふざけて言った。

「何いってんの 私は仕事に戻るよ」

と言うと

とても悲しそうな顔をした。

私だって悲しかった。


彼が言った。

「せっかく会えたけど仕方ない。

まぁ顔見れただけでもいいや。

飛行機の時間まで一人で時間つぶすわ」

「じゃぁ私そこまで送る」

と二人で駐車場まで歩きかけた時、

私の携帯電話が鳴った。

部長からだった。

「パ-トのおばさんがお客様の物を壊してしまった。

弁償しなければならないから俺のかわりに、

市内のデパ-トをまわって似たものを探してきて欲しい。

夕方6時までに戻ればよいから」

という。

その時の時間はまだ午前10時。


そんなことは今まで一度もない。

彼は

「俺も一緒に探すの手伝うよ。

なんか不思議な偶然だけど、これで今日はずっと一緒にいられるね」

と喜んだ。

不思議な気持ちになった。

課長の早退に部長の電話。

こんなにタイミングよく、普通なら有り得ない。

キツネにつままれたような気分とはまさにこのことだと思った。


デパ-トへ行くと、

1件目ですぐに探しているものが見つかった。

30分もかからなかった。

探し物は夕方までかかったことにして、

彼と二人で市内をドライブすることにした。

別にどこへ行くわけでもなく

何をするわけでもないけれど、

一緒にいるだけで幸せだと思った。

短い時間だったけれど嬉しかった。


もう会わないでおこうという決心は

失敗に終わってしまった。

その失敗で

私はその後2年以上も

苦しむことになる。

だけどそれを乗り越えて

今がある。

あの失敗(偶然)がなかったら

今はなかったかもしれない。


でもあれがなかったら無いで

私達の間には

また違う偶然も

あったかもしれないな・・・

なんて思う今日この頃。